追い風400 2026 後編

2026-02-01 #ブルベ

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峠を越えて

静岡の峠であまりにも美味い豚汁と持っていたおにぎり3つを流し込みリタイアしたい気持ちを口に出しつつ心はゴールに向いていた。だからここで15分ほどの休息を終え速やかにバイクに戻った。

一旦ここから沼津を目指す。沼津を抜ければ冷川峠。それを抜ければ最後のフォトチェックの後はゴールまで50kmしかない。もうちょっとなのだ。

トイレだけ済ませてバイクにまたがる。

すでに数人走り出しているっぽくて自分が何番目かはわからない。だがそんなことはどうでも良い。完走さえできれば。

すでに気温は0℃である。再出発はレインジャケットの下に溜まった汗が冷え始めて寒い寒い。しかし脚はまだ燃えてない。15分の停車でもまだ燃えるほど痛んでいないので踏めそうなので静岡市内を目指して進んでいく。

同じタイミングで出発した人が後ろにいた。この人といちごロードでちょっとだけ仮眠戦略について会話することになる。

ニキ
どこかで仮眠とりますか?
UG
寝ないつもりだけどもし寝るとしたら沼津かなぁ!
ニキ
お、そこまで行くんですねー
UG
逆にどこで寝ます?
ニキ
僕は推奨されてた駿河健康ランドかなと!
UG
なるほどー、仮眠とって再出発した時って脚のだるさやばいことになりません?
ニキ
なりますなります!
UG
ですよねぇ!
二人とも「wwwwww」

こんな感じの会話をしたw

やはりどれだけ屈強なランドヌールでも大休止は足がやばいことになるらしいw

この人とはその後の会話後にすぐに離れてしまったのだがやっぱそうだよなぁとか思いながら走っているとすぐに興津がやってくる。

先頭争い

豚汁ポイントから30km、駿河健康ランド手前あたりで手持ちの補給食が切れそうなので駿河健康ランド近くのローソンに行くことにして信号待ちをしているとどこかのタイミングでパスしたらしい人が後ろから来た。

そしてこういう——

「ここがこのブルベの先頭ですね!」

「え!?そうなんですか?」

「僕が豚汁ポイント出発した時にあなたがたが先頭ですって言われた!僕とあのローソンで買い物してる人より先に出発した人はいないよ」

と言われる。

この時にわずかな高揚感が全身を巡った。

そういうつもりで走っていたわけじゃない。そうじゃないけど、でも先頭だと言われるとそのまま先頭を走り続けられるか試したい。

信号が青に変わって追いついた人はそのまま前に。僕はローソンで買い物をする。買うものはジェルを3つ。

買い物を終えた時にコンビニに着いた時にこのブルベの先頭を走っていた人はそのままいなくなっており、代わりに休憩どこでするか?という話をした人が追い抜いていった。

なのでその人は駿河健康ランドで寝るらしいので自分の前には先頭を告げたランドヌールとコンビニ休憩してた人がいるっぽいことがわかる。

駿河健康ランドを抜けた時、この先170km走って自分が先頭でいられるか試したい気持ちは続いていた。

とりあえず暗黒の国道1号を渡った。その後蒲原を抜けたあたりでさっきの先頭を告げたランドヌールをパスする。横を抜けたら「トイレ難民になった!」って言ってた。どっかのコンビニでトイレするしかないよなぁみたいな話をしてそのままパス。

不思議とこの時に先頭に着いたぽいなという確信があった。

すでに補給がつきはじめていて脚はすでにきつい感じになっていて重いギアを踏むのは辛いのだが下ハンを握ればそこそこ速度には乗せられる。信号もまばらで風向きはそこまで悪い感じでもないし一度速度に乗せてしまえば28km/hくらいは出ることもわかったのでただただペースを維持する。

程なくして潮風が飛んできたと思ったら原駅が出てきて片浜駅が出てきて松原を横目に進んでいくと沼津に到着。

沼津で大休止

この後のことを考えて一旦沼津で大休止を取ることにする。

一度座ってゆっくりと食べ物を食べて水を補充して、ジャケットを着直して溶かしているとなんだかんだで40分ほど停車することになってしまった。

流石にこの間に何人かには抜かれるんだろうなとは思っていたがこの先で補給切れするよりはしっかり休めたし全部OK。

再出発したら気温は2℃。止まって冷えた体にはキッツイんだが諦めて走る。時間は2時くらいなので車もほぼいない。

補給が済んだ充ち満ちの脚で狩野川へ相変わらず速度は30km/hを下回るくらいではあるけどさっきよりパワーを感じていられる。

大仁の橋を超えたくらいで前に動く赤いライトが見えたのでランドヌールっぽいぞ!ということで追走を開始。修善寺まで5kmほどの距離を追っかけて修善寺のちょっと先でパスする。

すでに追い風から無風に移行した修善寺の先の山の中、補給のおかげかSSTのおかげか登坂でも結構踏める状態になっている。冷川峠の手前で先頭を告げるランドヌールをもう一度パスする。

そのままのペースで先頭をぶっちぎっていたらなんとニキが追いついてくる。

追いついてきて曰く——

「覚醒した!今なら富士ヒルでブロンズ取れそう!」

やばすぎるw

曰く登坂はめっちゃ苦手らしいけど200kmくらい走ってると突然覚醒するとのこと。

でも長距離走ってたら覚醒する気持ちはめっちゃわかる!僕もそうなのでめっちゃわかる

ちなみにこの人にゴール後に話を聞いたらCXの人らしい。そしてスプリントだったらPWR26倍とか出せるらしい。なんて脚してやがる。

冷川峠

この時に徐々にトイレに行きたい気持ちになってきており踏んだら漏れそうなのでぼちぼち冷川峠を攻略する。

先頭を告げるランドヌールニキ改め26倍ニキと仲良く登坂を完了し次のPCまで一気にダウンヒル。

冷川峠の気温は-4℃だったので道が凍ってる可能性があったので少しだけゆっくり下り始めたがまじで漏れそうなのと道がどうにかなりそうなのでそのままペースを上げて進む。

進んでたら26倍ニキも同じペースで下ってくる!?

ダウンヒルで追いつかれることってあんまりないんだけどなぁと思っていたがすぐに信号が登場。待ちに待った最後のPCが到着!

誰もいないコンビニなので速やかにバイクを立てかけて入店しトイレをお借りする。ありがテェ!!!

そしてジェルを2つだけ購入してすぐにバイクに乗って再出発!

冷えたくねぇ!もう冷えてるけど!

コンビニで少しあたたまった体は再出発で一気に冷やされる。当然である気温は氷点下。水が凍ってないのがありがたいくらいである!

伊東に下りきり真横に海を臨める状態になってようやく少しだけ暖かさを感じる。

出力を落とせば一気に冷えてしまう。しかしさっきから上半身がそこまで寒くないな?と思っていたらどうやらいよいよ寒すぎて汗をかかないこと、乾燥していること、GORETEXの条件が重なり、ウェアがドライになっちゃったらしい。

汗冷えしなくなったのは本当にありがたいことだ。そしてここから根府川駅を目指して4つの山を乗り越えることになる。

熱海〜小田原

そして最初の登りを攻略した後にちょっとトイレに行きたくなったので熱海の公園のトイレに駆け込む。ちょっとの停車だったが再出発。

次の登りで後ろから揺れるライトの灯りを感じたので振り返ったら自転車がいる!?なんだと?と思ったので登りのペースを上げたら見えなくなったので幻覚だと思うことにして先に進んだ。

登り下りを繰り返したら根府川に到達。根府川で写真を撮影してそのまま下山し小田原に到着。

小田原に着いたら一気に冷え込んできた。放射冷却なんだなぁと思ったがこのタイミングで眠気がピークになる。

そして運の悪いことに小田原の信号は多い。1つ1つの信号に必ず引っかかってしまう。

眠いし進まない。この区間の平均速度は22km/hしかでない。遅い。眠い。とっても辛い。

信号のたびにハンドルに突っ伏して目を閉じる。どこかで寝転がりたい。公園でもいいがそれにしたって寒すぎる!こんなんで止まって寝たら死ぬ!

昔偉大なロングライダーのりっけい先生が海岸のボロに包まって寝たという話を思い出し、もしもの時は自分もゴミ袋の山に突っ込んで寝ようとか思っていたのだが太陽の登場で徐々に覚醒し始める。

ゴールへ

このブルベは終始西から東へ進む。朝日の登場だ。

ゴールへ向かう足取りは徐々に重くなっていっていて登る朝日よりも遅い歩みではあるが着実に進み続けることができている。

気がつけばいつの間にか江ノ島が見えてくる。江ノ島を過ぎればもう鎌倉だ。おしゃれな街並みを通過していった先で少しのアップダウン。

去年はこの辺りでずっと雨に降られて地獄の気持ちだったが今年は気持ち良い。

気温も徐々に上がり始めたなというところで最後のトンネルを抜ける。

ゴールまで20分というところで一気に気温が上がり始め3℃で温もりを感じていたら最後の信号が見えたので左折!ゴールになっている松汀園に飛び込む!

時間は8:20分とかかな?18:30くらいのゴールになるだろうか。

ゴールしたらAJ神奈川の方に迎えていただいた。

ゴール!お疲れ様でした
ゴール!お疲れ様でした

履いていたシューズカバーを外し、靴を脱ぎ、モンベルの極厚靴下を引きずりながらゴール受付を済ませてそのまま銭湯へGo!

程なくして26倍ニキもゴールする。

もう少し眠くなるかなと思ったが一旦覚醒してしまったのでそのまま服を着て軽くお菓子をいただいたらそのまま長居せず駅へ向かってこの旅を終わらせる。

あとがき

出走前のやる気が出ない状態を何がなんでも脱却したいと感じていたので途中から必死になっていたのかもしれないし、ここがブルベの先頭ですよと言われたことがきっかけだったのかもしれない。

ただ230km過ぎたあたりからどうやって最速でゴールしようか?どうやって19時間を切ってゴールしようか?ということを考えていた。

ファストランするつもりは全然なくて止まらなければそれで良しという緩い気持ちでスタートを切ったはずだけど登っていく朝日に向かって目が眩むような眩しさの中、美しい景色を駆け抜けたことで長らく自転車で味わえてなかった人馬一体で限界へ挑む気持ちを見た気がする。

長距離走ると絶対にキツい瞬間がある。雨か気温か?体力かメンタルなのか?不調が一つである保証もなく、不調に予告があるわけでもない。

唯一無二のゴールに向けて無数の可能性の中から正解の道筋を探して進み続ける長い長い自分との戦い。

だからこそ完走するとそれに魅せられる。

心の導火線に火をつけられる感じ。

そして僕の2026年SR獲得の一歩目を漕ぎ出した感じがした。

BRM131神奈川400km追い風 完走
BRM131神奈川400km追い風 完走

走行データ

距離399.19 km
移動時間15:30:17
経過時間18:31:26
獲得標高2,731 m
平均速度25.7 km/h
平均パワー118 W
消費カロリー7,666 kcal
バイク花火

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