興津1000 #day2

食べられなくなったやつからいなくなるデスゲーム編

ホテル ~ PC4

滝のような汗をかいて4:50に目が覚めた。

これまでも月間で2000kmとか走ると最初の10日くらいは滝のような寝汗で途中覚醒していたことはあるのでなんとなく原因はこれだろうなという結論に達する。

そしてベッドの中にいるのに寒い。風邪を引いたのかと思うくらいに寒い。汗が乾いてきているのか、どうやら部屋全体が乾燥しているらしい。

とりあえず汗だくの寝巻きをパージしてベッドに入り直すと少し暖かくなった。

外気温を確認すると2℃らしい。部屋の暖房を最大温度にセットして部屋をあっためることにした。

どう考えても睡眠時間は3時間切ってる。絶対睡眠が足りてないのでもう一度寝たかったのだがここで寝るとホテルのチェックアウト時間まで起きることができない気がするので眠るという選択肢は無さそうだ。

なんとなく部屋の暖かさを感じていると猛烈な空腹感に襲われる。

自律神経が壊れているのはもちろんのことだが寝る前のカロリーが足りなかったみたいだ。眠り続けることができなかったのはここにも原因がありそう。

なのでエアコン入れて部屋が暖まったタイミングでベッドを出てコンビニへ朝ごはんを買いに行く。

昨晩のカロリー + 朝ごはん分のカロリーが必要だ。少なく見積もっても1000kcalは取らないとキッツイだろうなぁと思うのでかなり多めに買う。

普段コンビニで買い物しないので1000kmブルベという異常事態でなければ絶対にやらないような買い物量だと思う。写真がないのが残念なくらいだ。

ホテルに戻ってからはかなりの苦しみながら朝ごはんを飲み込む。寝起きで猛烈にお腹が空いてるのに食べ物を食べるのに苦労するくらいなので身体の方のダメージはすごいことになっているのだろう。しかし完食する。

分かっているのだ。食べ物を食べられなくなったものから消えていくデスゲームが始まっているということに。

そしてガジェットの充電が満タンなことを確認。今日も長丁場になることはわかっているのでバッテリーが満タンなことは何よりも大切だ。今日はスタート時点で長野だし、新潟で終わるライドになる。全ての道が初めての道だ。充電できなかったら詰む。

部屋にいてできそうなことはあるかな?と考えて今日走るコースのチェックポイントを切り出してメモにまとめる。何キロ走ったらPCでそこから何キロいけば登りの入り口で何mまで登るのかを全部書き出す。

そしてまとめ終わったらいよいよやることもない。寝たいけど眠ることもできないとなるとやることは一つ。走る。

結局予定を2時間早めてホテルを7時に出発する。次のPCまでだいたい100kmの道を進み始める。

天候には恵まれているが走り出しは例によって燃えるように痛む脚を感じる。関節の痛みじゃなくて筋肉の痛みなのでよかった。まだ走れる。いつもの事ですぐに収まるとわかっているので脚が回ってくるまでは低強度で耐えるように回す。

なかなかに澄んだ長野の空気を感じながらすぐ近くのコースに復帰する。

走り出して思うのは昨日あれだけ苦しい思いをしてここまで辿り着いたというのに3時間の睡眠でかなりフレッシュな気分で走らせてくれる。値打ちのあるバイクだなぁということ。

ホテルを出発した時点で既に大量の車が走っていた。よく考えたら平日である。通勤の時間だもんな。当たり前か。通勤時間帯を抜けるまでは2時間くらいあるんだろうけどそこまでは気をつけて走るしかない。

PC4のある白馬村までは自分が登っているかよくわからないくらいの超ゆるい登りなのでメーター読みで30km/hくらいの速度を狙いながら走る。

昨日とは打って変わって穏やかな気象条件でめちゃくちゃ走りやすい。急がなくてもそこそこのスピードはずっと出てくれる。たまに信号に捕まるが信号自体も多い感じでもない。それゆえに結構進む。

朝ごはんついでに補給食も買ってきたのでコンビニ休憩も必要ない。速度的にも時間的にも余裕がある。走り始めてからは筋肉の疲労も少ない。ここまで400kmくらい走ったけどここ2時間が一番平和な時間だわ。最高か?

いつもであればそろそろ腰が腕が肩がと痛みが出て困るのだが今回はそれすらない。不快なところがないだけでこんなに楽なんだと思うとちょっとだけ周囲を見る余裕もある。

路肩はすでにちょっと割れてたり、たまにナビに騙されたり、めちゃくちゃ長い踏切で渋滞に巻き込まれたりしつつも4.5時間くらいで100km先の白馬村のPC4に到着した。

想定タイムよりも30分くらい早い。順調すぎるな。

ここまではほぼ平坦だったがこれから2000mくらい登る。いっぱい食べてれば結構踏めるということは昨日わかったのでこのタイミングで腰を下ろしてお昼ご飯に肉うどんを食べた。

肉うどんを食べている間にきた他の参加者と会話する。会話の内容は概ね宿の予定だ。

自分は300,300,400の計画だと伝えたらその人は300,200,300,200の段取りだと教えてもらう。

今日は200なので新潟に入ってすぐのホテルで休むのだそう。なるほどそういう走り方もあるのか...と驚きつつ、食事も終わったので再出発の準備を開始する。

2日目、300km走ってからの100kmのペースが脅威の100km/4.5時間である。

事前の工程表では今日は9時発、0時に次のホテル着のペースで計画していたが、これなら今日は3時間早く着くぞ?などと思いながら走り出す。

ゆっくり食べても5時間くらいか?順調じゃないか!!(フラグ)

PC4 -> PC5 ここから2日目の最大山岳区間に入る。地獄の戸隠峠

ここでは1200mまで一気に登る。といってもベースラインとして600mくらいのところをずっと走っているので獲得標高はそんなに大したことはない。

そう、大したことはないと思っていたのだ。

この登坂はこのブルベで最も急登だった。上り口からして激坂で傾斜が変わって5%になるとそれが平坦だと錯覚するほどの登り坂だったといえばイメージしてもらえるかもしれない。

激坂区間ではなぜかサイコンがバグって斜度2%とか表示されているのに勾配が緩むと5%とか表示される。一体どのくらいの坂だったのかデータから判明しないが経験的に12~15%くらいだと思われる。

とりあえず一本目の登坂はそんなに登らなかったはずだからということでほどほどのパワーで攻略していく。

きついのでダンシングと時折蛇行をしながら登るととりあえず一旦山頂っぽいところが見えてくる。登っていた方を見ていると綺麗な雪山が見えている。

今日が4/30であることを忘れさせてくれる絶景だ。平日のはずなのに山頂のちょっとひらけたスペースには車が何台かとまって写真を撮っている。なるほどそういうスペースなのね?ということで僕も一枚。

ここは大体1100mくらいのところらしい。そしてここから一旦降る。なんか700mちょっと下回るくらいまで降るっぽいことが書かれていたはず。

崖から見えた景色は雪だったが遠くのことだったので綺麗だなで終わった。だがこちらも日陰ポイントにはバッチリ雪が残っている。

雪がある高地となるもなると道は悪い。そう道は悪いのである。

割れてめくれてトゲトゲになった道の上を横はガードレールでその下は何があるのか知らないという道である。

パンクならまだ良いがブラインドコーナーで対抗と突撃したら救急車は来てくれるのだろうか?いや、パンクも嫌だ。ごめん被りたいもんである。

そんなことを思いながら走っていると当然のことだが速度も伸びない。

これだけのダウンひるでアベレージ30km/hというのもなかなか珍しいと思うくらいのセーフティライドだ。

一通り下り終わったところで水が切れていたので何故か見つかった個人商店っぽい店の前の自販機でボトル2本を補給。

きつい登りになるだろうし糖分と水を接種してのぼりを再開する。

さっきもなかなかきつかったのだがそうはいっても気づけば終わってたしこっちも大丈夫やろと思っていたのだが...

ここから6kmで降った分を登り返すことになる。平均勾配は6%なので真城峠くらいなのだが、時折15%の急登を挟みながらの激坂クライムである。

この標高でもノロノロクライムで直射日光が燦々照りつける状況となると暑さでどんどんスピードが落ちる。結果的にこの6kmで40分も時間を消費してしまう...。

しかしまだ終わらない。長野の山は終わらないのである!

1070mから900mへの無慈悲なダウンヒル。今まで貯めた位置エネルギーは全て失われてしまった!

そして始まる登り返し。三発目。ここが長野の山のラスボス。戸隠峠である。

900mから1230mまで登る。5kmで。平均勾配は7%。これがきつい。さっきヒートした体がもう一度ヒートする。すでに500km近く走行している脚が燃えるように痛んで悲鳴をあげている最中に突然GarminEdgeが道をロストする!

最悪である。もしかしたらこの道は間違いかもしれない。なんか畦道みたいなところ通ってるしマジで道間違ってるのか?でもここまで登ったら降りたくない...

葛藤である。立ち止まって。本当に復帰して欲しいが何故か復帰しない。こんなに空が青く遮るものも何もないのにだ。

数分立ち止まり、道が合っていることを信じることにした。ダメだったら降るしかないが、流石に道路設計した人も山頂に通すはずだと信じることにした。

走り始めてすぐに畦道から見える下の道が本道っぽいことを発見して終わったか?と思ったが少し進むと本道に復帰した。本当に良かった。

そのまま登る。そのまま登り続けると道の脇に蕎麦屋が並ぶようになってきた。食べたい気持ちはちょっとあるが今立ち止まると脚と腰が立ち上がるのを拒否しそうになるので止まれない。

というかこんな山の中によく住んでるよな...。何を思ってここに住むことにしたんだろうな...とか少しだけ歴史に思いを馳せながら登っているとようやく山頂が見える!

体はクッソ暑いのだが周りを見れば雪が積もっている。

多分あの積もった雪は僕の背丈より高いぞ?

急峻な戸隠まではわずかに40kmだった。だがこの40kmで3時間は消費してしまった。

今朝は早くホテルを出られたので今日は早めにホテルに着いて休めると思っていたのに...。ここで失われた時間はどうにもならないがそれでも二日目の核心部は突破した!

次のPCはここを降ったところにある。山頂の平坦区間を走っていたらさっきのPCで入れ違いになったランドヌールが休憩していた。手を振る余裕があるらしい。優雅でいいなぁ...

戸隠を攻略したらPC5までは下るだけだ。500mほど。安全にだが可能な限り速く登りを攻略するのにかかった時間を取り返したい。しかし冷えたら詰むので下りの直前にレインシェルを着込む。

立ち止まると一気に汗が引いて冷えるのを感じた。

ウェアを着用して厳冬期装備で下り開始。例によって雪によって破壊されたガタガタの路面を出せる限りのスピードで駆けていく。

15kmで30分。ガッタガタの道でシェイクされて何もしてなくても手が震えるくらいの状態になった時にPC5に到着した。時刻は16時半くらい。

登りは日向で燃えるように上った体温は雪の残る山頂からの30分の下りで急速冷却される。さらに路面にシェイクされたことで吐き気も出現。

PC5の壁にバイクを縦掛けで少しだけ腰を下ろした。気持ち悪さで立ち上がることができない...。

このままだとすぐに夜になる。気温が落ちたらいよいよ詰む。何かしなければならない。

このまま食べずに走り出したらダメかな?食べるのがきついわ...。という気持ちも出てくるのだが、次のPCまでの距離は70kmある。食べない選択肢はありえない。

わかっているのでどうにかこうにか立ち上がってコンビニに入る。なんとなく体が塩気を欲していたので日清のカップヌードルを購入した。あとはおにぎりとジェル。

お湯を入れて3分。あとは流し込むだけなのだがラーメンのうまそうな香りがするのに箸が動かない。

このブルベは食べられなくなったやつから消えていく。だから食べないといけない。そんな当たり前のこと

カップ麺が茹で上がるまでの時間、コンビニの側面に座り込んでまた動けなくなってしまった。

結局かなり無理をしてのびのびになった麺を啜ってどうにかカップ麺を流し込むことには成功。

成功したものの本当にキツくなってきたのとここに来て眠気もやってきていよいよここでリアイアしたい気持ちに座ったまま膝を抱え込んでしまう。

PC5 ~ PC6

このまま丸まっていても時間が過ぎていくだけだ。何かしなければならない(二回目)

しょうがないのでトイレに行く。もしかしたら出てくるかもしれないと思うがそれはそれで何も出ない。

ニオイのやばいトイレだったら今食ったものが口から出たかもしれないが非常に綺麗なトイレだった。

そうなってくるとコンビニにいても何もできない。時間的に日も翳り始めて寒くなってきた。このまま待っても回復は絶望的だ。

だから走ることにした。座して死を待つよりはという気持ちで立ち上がる。Aqoursも言ってるじゃないか。

「あきらめない!」と言うだけでは叶わない。でも「動け!」ば変わると知ったよ

とはいえ回復するとは思えなかったのでほとんど祈るような気持ちで何かが変わることに期待してバイクに跨って降り始める。

流石に標高1200m地点と違って700m地点は幾分暖かい。あと路面も少しマシなだった。

この下りは合計で30km。このブルベでも最長ダウンヒル区間なので跨っているだけでも距離は稼げる。

そしてありがたいことに脚を回しながら下っているとさっきまで吐きそうな状態だったお腹も心なしか元気になってきた。復活の兆しである。

体が復活すると今度は眠気が出てきた。流石に睡眠が足りん!と思ったが回復してきた状態で立ち止まったら冷えて逆戻りするだけだ。止まるわけにはいかない。

止まらず、眠気を覚ます方法...どうしようもなかったので大きな声で歌を歌うことにした。

「We are the champions, my friends」

何故かQueenである。でもこれは効いた。かなり効いた。もうここまできたらチャンピオンだろうしな。叫んでもよかろう。

約1時間、30kmの下りを終えた時、体調は完全に戻っていた。「動け」ば変わると知った瞬間である。

そして人生で初めて新潟の地を踏んだ。凄まじい田園風景で実家を思い出したが平地区間は信号も少ない。PC6を目指してひたすら海岸を目指して北上する。

足は回復していてかなり踏める。一皮剥けたらしい。海岸までは50km近くあったが信号も少ないので26km/h前後で走り続ける。この間辛いとかそう言うのは何もなかった。

ボトルのドリンクも切れ始めたので路肩の自販機前で停車。水と甘めのドリンクを購入する。

さっきのPCで食べられなくなりかけた。この後のPCでも問題なく食べられるかはわからない。となると固形物以外でエネルギーを吸収する必要がある。スポーツドリンクはPC6までの20kmの保険という感じだ。

甘い飲み物で血糖値スパイクを起こすと100kmくらいはドリンクだけで走れるがその後に体が完全に固形物を受け付けなくなるので控えめに飲むことを意識する。血糖値スパイク走法はもう終わってもいい時だけ使える奥の手。今風に言うなら「極の番」である。

海沿いに着いた時に補給食を一口してPC6のコンビニに到着。この50kmは2時間130wをキープしていた。意味がわからない。なぜもり返せたのか...。

しかし本日の最終PC(実際にはホテルの前にフォトチェックがあるのだが)が見えるとさらにやる気が出てくる。いける気がする。

コンビニに到着すると前日一緒に風の中でローテした善子ちゃんジャージの人がいた。

聞けば5時台にはホテルを出たらしい。タフすぎんかこの人、全然寝てないやん...。(眠くないと言ってた。)

僕の到着から10分ほど、バナナを食べている彼と少し雑談をしてからこのタフガイは走り出して行った。

善子ちゃんと会話している途中で新たなランドヌールがPCに到着。この人とはその前のPCに僕が到着した時に入れ違いで出発した人で戸隠峠でパスした人だった。

下り切ってから結構ハイペースで走ったけど比較的すぐ追いつかれた感じを見るにしっかり脚のある人なんだなと感じたので出発のタイミングを合わせてこの後のコースも一緒に走る感じになった。

PC6~フォトコントロール2 ~ 2日目のホテル

PC6で足の合いそうなおじさんとパックで走る。

例によって漕ぎ出しは全然踏めない。鉛のように重たい足を体幹でぐいっと引き上げるイメージで走る。

今日走ってきた距離に比べればなんてことはないが、それでもフォロコントロールまでが40km、ホテルまではそこから20kmほどある。

時間は20時半。登坂があるとはいえ頑張れば日付変わる前に行けるんでは?と思うもペースは上がらない。

上がらなくても足はあったまってきたのでそこそこのペースで距離を消化していくが気温はどんどん低下していく。

海沿いも寒かったが山間に入っていけば行くほど冷え込み方が激しい感じがする。

フォトコントロール2は300mほどの低山にあるのだが新潟区間のかなり北側で時間も22時とあって外気温は4℃程度。限界環境に近い。

すでに周りは真っ暗である。謎の獣の遠吠えとわずかな街頭の中、山間のアップダウンを4つのライトで切り開きながら進んでいく。

もし明るければ絶対に走らないかも知れないような路面を通っているかも知れないが何も見えないのでパンクしないことを祈りながら走る。

道は全部黒いのでわかりづらいが路面は間違いなく濡れている。雨が降ったわけではない。そうこの水は雪解け水。

ライトを外して周りを照らし見ると雪ばかり。

Garminを見るとまだ4℃らしいものの沼津で真冬の4時に走るよりも寒い気がする。沼津なら問題なく耐えられる厳冬期装備の手袋も冷気が貫通していく。指の感覚が消えそう...

耐え続けること1時間。ようやくフォトコントロール2の看板らしきものが見えてきた。

悴む手でiPhoneを落とさないようのホールドしつつ撮影。撮影が完了したらおじさん共々ダウンヒル開始。そして真の地獄はここからだった。。。

登りでわずかながらに残った体温が一瞬で吹き飛んでいく。対して速度は出してない(というか暗すぎて出せない)のにである。

Gore-Texのレインシェル(沼津でなら厳冬期でも下は裸で走れるくらいの暖かさ)が負けるくらいに寒い。

もしかしたら2月の大雨400ブルベといい勝負するかも...。飛び掛けの意識の中でそんなことを思っていたら明かりがある。この山の中に?幻覚か?いやセブンイレブンがあるではないか!

命の灯りやこれ...。おじさんにコンビニに行って暖かい物を食べると宣言したら同じ考えだったらしくすぐさまコンビニへ。

とにかくなんでもいいから温かいものが食べたい。ハンバーガーとお茶漬けを手に取りレジへ移動。ハンバーガーは即温めてもらって食べる。

普段なら熱くてさわれないバンズが心地よい...。店外で食べることを覚悟していたらなんと店内にイートインスペース(神)がある。味わう。うんまぁい。

断言できる!この瞬間、おそらくは世界で一番うまい食べ物だった。断言できる(二回目)

凄まじく温まった。こういう限界状態で食べる食べ物のおいしさは普段の生活では絶対に到達できないと思う。食べることは生きることなのではないか?とさえ思う。

皆ぎる走る哲学者、退店のタイミングでホテルまでの残り距離を見積もると概ね20km。

あと1時間程度だろうか?沼津基準での最強厳冬期装備は完全に敗北した後ということもあり、残り1時間を耐えるための何かが必要だと感じた。

また雨ガッパでも買って着るかぁ?と思っていたらなんとフリーペーパーの新聞を見つけた。

この紙はこのために生まれたのだ。と一部を頂いてジャージの下に挟み込む。おじさんもジャージの下に一枚入れてた。

これがあったかいんだよぉ...。本当にあったかい。

そして再進行。ところどころ小さい登り返しは温まるために500wくらいで踏んだりしながら二人で宿を目指して南下していく。

10km...5km...と近づくにつれてだんだん高まる安心感。

宿の手前まで着いたところでおじさんに感謝を告げてパックを解散する。(おじさんもこの先に宿をとっているそうだ。良かった)

ホテルでは速やかにチェックインするととても対応の良いフロントの方が担当してくれた。

バイクは部屋に持ち込めなかったが他の人も玄関にバイクを立てかけているだけだったので鍵だけかけて部屋へ移動。

充電を開始しつつシャワーを浴び、ランドリーを探すもランドリーは5時からしか使えないので諦めて寝る事に。

幸い1時間前に食べたご飯のお陰で一瞬で睡魔がやってくる。

次の朝は洗濯もしないとだし9時までゆっくりしたいもんだ。なるべく長く眠れると良いなと思って目を閉じた瞬間に意識は途切れた。