Diskブレーキのホイールをリムブレーキバイクで使用してホイールを破壊するという悪夢と共に目覚めるという、最悪の覚醒をキメてしまったのだが自宅で6時まで眠ることができた。
ブリーフィングとか諸々の手続きを考えると7時に家を出れば間に合うくらいの段取りなので起きて朝ごはんを食べる。
前日、前々日はカーボローディングとして特大のお好み焼きを食べているので若干朝ごはんを食べるのは苦しいが、時間はいっぱいあるのでゆっくり食事。
水を入れて自転車を玄関まで降ろしいざ外へ出てみると結構肌寒さを感じる。沼津でも寒い。やはり防寒ガチ勢でよかったようだ。
8時にスタート地点になっている駿河健康ランドへ移動するとすでに屈強なランドヌールが集まっている。ざっとみ20人ほどいるっぽい。
受付中
ブリーフィングでは新潟あたりはちゃんと雪国の路面で道が荒れてて悪いなど、事前の注意事項説明を受けた後はバイクを日向に移動して出走を待つ。
検車を終え出走を待つ
周りを見るとすでにグループができている。
若干の居心地の悪さを感じつつもGarminに800km分のルートを読み込ませる。(1000kmなんだけどGarminの仕様で800/200で分割されてた)
準備していたら時間になったので出走。「行ってきます」の掛け声と共に走り出す。
行ってきます!
— UG (@gr8distance) April 29, 2025
スタートして早々というと大体飛び出すランドヌールがいる。
ファストランガチ勢はどこにでもいる。自転車とはそういう乗り物だからだ。
しかし今回は1000kmブルベなので飛び出す命知らずはいない。僕自身も無謀な踏みはしないと決めていた。
目標は150w未満の出力。これを基準に走り出す。
今回は皆が同じような考えなので信号一個引っかかったタイミングで大集団が出来上がる。
みんな心は一つ。足を使わず長い距離を移動する。これに尽きる。
ところが清水駅を抜けたくらいから先頭の人がかなり強く踏んでくれる上に事前の予報に反して追い風が吹いている。なぜだ?
風に乗ったパワーライダーが引くトレインは超速い。
どれくらい速いかというと、道の良い直線区間のいちごロードでは平均で40km/h以上で走っていく。
自分は集団の真ん中の方にいたが、信号からの発信時には先頭の加速についていくためにガンガン踏んでいたので瞬間的には50km/hまで加速していた。
これはまるでクリテリウムだ。なんなら僕の後ろの人たちちぎれてたよ...。(信号でちゃんと後続も追いついてきたりして無理に加速して走る必要はなかったのだが)
数年ぶりにレースの加速を体験する中で距離を消化していったらすぐに静岡市を抜ける峠に差し掛かる。
しかしこのタイミングで膀胱が限界になっていた。我慢して集団移動してる方が楽なのだが、軽く踏んでも漏れそうだ。
まだ走り始めて30kmも経ってないだろう?流石にここでDNFという訳にはいかないのでトレインを抜けて道の駅のトイレに停車。
ダッシュでトイレに入り込んで高速で用事済ませて出てくるも再出発したらトレインはどこにもなかった。
全員あのスピードで峠越えたのかな...?(ヒェ)
少し後から来たライダーが1人いたのでとりあえずその人を目指して登坂を開始する。
スタートしてから1時間少々。つまりめちゃくちゃ脚がある状態だ。気をつけないとすぐにFTP以上のパワーで踏んでしまう。
心拍も凄まじいあがりっぷりで170bpmで全然踏める。レースなのか今日は
鎮まれ俺の脚と心臓!
なんとか抑える。気をつけないと...後で詰む...のだ...
元々この日の予報では浜松までは向かい風。それも風速12m/sの暴風が吹いていることが予言されていた。
僕自身は風速8m/sくらいから外ライドはしないタイプなので、こんな暴風はブルベでなければ絶対に走らない。だが前情報に対して今の所は追い風しか経験していない。
とはいえ静岡市を抜けたくらいから徐々に風向きが変わっている感じはしていた。
焼津くらいまではそんなにやばい風は吹いてなかったのでエアロフォームで走る。
脚もあるし体幹も消耗してないのでこれが楽で速いのである。
すぐにトイレ前で遭遇したライダーをパスする。
後ろについてくるかなと思ってちょっとペースを落とし目にして走っているが信号で追いつく以外は車間を多めに開ける感じ。
意図的に距離を空けてる感じなので一人で走りたいのかも知れない?
付かず離れずのペースで走っていたら先頭からもう一人ライダーが現れて合流する。
そのまま先頭を走っていたらその人はツキ位置で走っている。
信号待ちの時に振り返って挨拶をすると黒澤ダイヤちゃんのジャージを着用しているではないか!(上がるテンション)
さらにその後ろから最初にパスした人が到着。その人は津島善子ちゃんのジャージを着用している!(ぶち上がるテンション)
挨拶してサ!の人であることを確認。僕もマリちゃんジャージを着用してくれば叫んだりサ!の人が三人いるならこれはもうHappyPartyTrainだと叫んで走る。
脚を使わないように徐々にペースを上げていたら突然とんでもない風が拭き始める。
突風とか烈風と言われるような風。ハンドルをしっかり抑えてないと真横に曲がりそうになるような風だ。
こんな風が吹くとトイレ休憩で大集団トレインから外れてしまったことを悔やんだ。
が、逆にこんなやばい風吹いてたらトレインで走ってる方が危ないだろと自分に言い聞かせて頑張って走る。
一回くらいフルローテしたくらいでポロポロとさっきの大集団トレインから溢れた人達の小集団が形成されている。
速やかに追いついてしばらく後ろで休んで前に出て走ることに。
即席のそこそこでかい(10人くらいの)トレインができたのでみんなでローテしてPC1の75km地点を目指す。
基本は前から飛んでくる向かい風だが真横から刺してくる烈風もありバイクが真っ直ぐ走ることはない。
そのため車間を詰めすぎてハスって落車しないように気をつけながら走る。
どうやらラブライバー兄貴たちはこのコースを知っているっぽい。
危険箇所も把握しているっぽく、橋のような路肩の狭く風に刺されて蛇行する危険のあるところは臨機応変に先導してくださる。めちゃくちゃありがたい。
信号待ちのたびに安全に停車して脚と呼吸を整える。普段なら煩わしい信号が貴重なレストタイムになる。
こういう時は信号が短く感じられてしまう。不思議なもんである。
耐えに耐え続けること約3時間。横風シェイクをくらってから1.5時間といったところだろうか?
一筋の光が見えてきたPC1の到来である。
PC1に到着したので速やかに補給食を購入する。
おにぎりを食べたり水を入れたり。この辺はもう慣れたものなので目を閉じてもできる。
買うのはできるが食べるのはしんどい。何せ3分前まで心拍が170近かったのだ。vo2max練の後にご飯食べれるのか?という話である。
いや、食べれはするのだが流石に水がいる。流し込まないと無理だ。
いつもよりちょっと時間多めではあるがおにぎりも食べ終えてしまったので先ほど道中一緒に走ったラブライバー兄貴たちにはお礼を言おうと思い兄貴たちのバイクが止まっているお店の側面まで行く。
すでに脚で語り、ジャージで語り、道で理解り合った仲だ。さっき会ったことを除けば同士、あるいは戦友である。
「先程はありがとうございました!力強いHappyPartyTrainでした!感謝すRuby」
合わせてもうしばらく一緒にお願いしますといってみたら快諾していただけたのでここはほっと一安心。
聞くと色々ブルベに出ておられたりレースもされたりと非常にアクティブな様子。そら強いわ。
興津1000は今回が初開催であるが、興津600というほぼ同じコースをたどるブルベは走った事もある様子。なるほど道も詳しいのか。同行させてもらえるなんてありがてぇ。
みなさんゆっくり食事休憩されてるのでその僕も雑談を。
初日の宿はどこにしたのかを問われたので伊那にしましたと言うと全員が同じ様子。
松本だと遠いし、その手前だとちょっと近い。伊那がベストっぽい気がしたんですよねと言う話をするとみんなそうっぽい。
ホテルの名前を言うと僕以外はみんなすぐ近くのホテルを取ったらしい。
明日の宿は?と聞かれたので浦佐というとそれもみんな同じっぽい。こっちは宿も同じらしい。
数人のランドヌールが休息スポットを同じくしていると言うことは事前の読みは外してなさそうだったのでちょっと自信がついた。
何せ彼らと同じくらい旅程で走ると言うことがこの情報で判明したわけだからね。
心で良しと思いながら自分のバイクに戻って発信に向けて準備をする。
ふといつもならどうしていただろうか?と考える。サクッと補給してサクッと走り出すのだろう。
だが今日はこの風である。「絶対に一人で走りたくない!」のである。
多分PC1にいた全員が同じことを思っていたと思う。誰もがみな疲れ切った顔をしている。まだPC1なのだが。
程なくして8名程度のランドヌールが出発し始めた。僕たちもと言うことで駐車場を出て信号に並ぶ。
ローテのお願いをしたのは僕なので最初は僕が先頭で走る。さっき出発した組はもう豆粒くらいの大きさになっている。
無理して追いかける事もないのでわずかに回復した体幹を効かせてエアロフォームで追走を開始する。
3kmに1回くらいの頻度でローテしていたら10分くらいで追いついてしまった。
大きな道なので大集団の前に出る。大集団もHappyPartyTrainへ乗車。これでまたまた大集団の出来上がり。
多分PC1までと同じメンバーで120km地点のフォトコントロールを目指す。
大集団になったということは休める時間が増える(理論上は)ということだ。同時にこれはデスゲームの再来でもある。
そう、脚の無くなったやつから強制下車イベントが待っているのだ。
ローテ慣れしているニキ達はともかく自分は久しくレースはやってない。ライドもソロが多め。
昔を思い出してきつい時は2秒でローテするというセコいムーブをやっていいなら別に困らないのだが流石にそうもいかん。
限界まで先頭を引いてそのまま強制下車にだけはならないように集中しなければならない。
いつかの富士ヒル前のSSTのように自分と深く会話する必要がある。そんなものは風一発で会話不能になるのだが。
PC1からフォトコントロールまでは50kmあるが流石に10人いればギリギリなんとかなる。
なんとかなるけど灯台まであと10kmくらいのところから1人、また1人とドロップしていくメンバーが...
気づいてしまったので救出してトレインに戻してあげられないかとちょっとだけ下がって後ろに着かないかやってみるも厳しそう。
流石にこんなこと何度も続けてたら次は僕が下車することになる。ちょっと後ろ髪をひかれつつ救出は諦めてトレインに復帰。
そこからも耐え難きを耐え、忍び難きを忍びどうにかフォトコントロールの灯台が見えた。。。
PC1を出た時の人数と灯台前にいる人数が違う気がするけど...。もはや誰がいたのかわからんわ。
風に記憶を食べられたのかもしれない。
到着して写真を撮りジェルを一本吸引して少し休憩したたら今度は一路北進する。
PC2は浜松の手前の天竜川の上流、山の中にあるらしい。全体で言えば200kmくらいのところにあるのでフォトコントロールの灯台からは80kmか90kmいったところにあるということになる。
さすがに風速12m/sの向かい風よりは横風の方がマシだろう。山岳区間は大体150km地点から始まるからあと30kmほど天竜川沿いに遡上する。
脚がないのもあってゆっくりとした漕ぎ出しから始まる。
フォトコントロールまで共に戦った仲間達はすでにバラバラになり、自分含めた3名の先頭と後ろに数名という状況だ。もうバラバラだ。まだ1kmも進んでないのに。
回復がてら少しゆっくり走ってみるも追いついてくる気配はないので3人で走る。
流石に横風とはいえローテすればマシだろうと思って3人で隊列を組んで走るのだが、進行方向に対して完全に直角の横風が吹く。こうなるとローテの意味は全くない。
タイヤは大体真っ直ぐ進むのだが、カウンターでバイクを風上に向けて斜めに傾けて走る。みんな60°くらい左に傾いてる。
直角の暴風が耐えず吹き付ける天竜川河川沿いではバイクが真っ直ぐ走らない。
この横風に直面してリムハイトをもっと低いものにしておけば良かったとも思ったりしたのだが、やばいくらいの風に対してRapide CLはこの横風を上手くいなしてくれると感じる。
フロント50mmのなかなか高めのホイールがこのレベルの暴風の中を傾きながらも直進できているという事実に非常に驚いた。(Roval CLX64なんかは真っ直ぐ走らない。)
後ろから走ってきた車は重力が壊れたのかと思ったかもしれないが走っているこちらは真剣である。
さらに困ったことに真横から風がふくと普通に息を吸っても空気が入ってこないのだ。自分の体から空気がどんどん剥がされている。
そのため吸気のために常に口が開いてしまう。開いた口は猛烈に乾くので水を飲みたいが風が強すぎて片手運転はできない。下手すると落車か事故する。まじ怖い・
富士山5号目くらいの空気感。当然きつい。最初は3名で走っていた先頭ローテも気がつけば一人いなくなって自分とダイヤちゃんジャージの兄貴だけである。
更に辛いのがここで空腹も感じるようになってきてしまった。コンビニのある山の手前が150km地点。今は125km地点。厳しい。
空腹と低酸素と最強横風のジェットストリームアタック。ハンガーノックになってもしばらく走れるので耐えながら走ってはみたもののそこから10kmでダイヤちゃんについていくことができず完全に脚が止まってしまう。
135km地点。コンビニはまだ遠い。風は収まることを知らず立ち止まった体でさえ強く揺らしてくる状況だ。ただし呼吸は楽になった。
コンビニで用意したありったけの補給食を水と一緒に腹に流し込む。多分600kcalくらい。
即効性はないもののちょっと待っていたら空腹からは脱出できたので15kmの距離をぼちぼち移動する。
夕方一歩手前くらいの中を抜けていくと補給が効いてきて力が戻ってきた!気がつくとちょっとずつ暴風区間は抜けている感じがする。
ペースも戻ってきたのでさっきよりちょっとスピード上げ目で走っているとガッツリ山が見えてくる。左手にコンビニも見えたのでそのまま飛び込む。
コンビニではおにぎり2個と唐揚げを頬張る。いつもは炭水化物しか摂らないけれど今回は意識的にタンパク質も接種しようと決めていた。
普段なら水で流し込んで味わうことのないおにぎりだが肉の旨味が合わさって最高になる。疲れた体に唐揚げの塩見と米の甘味が染み込んでいく。なんというyummy😋
水も補給しているとオートバイで旅をしているライダーのおっちゃんからどこに行くか話しかけられた。
自分が1000km走る予定で今が150km地点であること、今日は300km地点まで行くから後半分という話をすると驚いていた。
わかるよ。僕もどうしてやってるのか?をつらすぎて忘れ始めているもんね。
ブルベってそれ単体だと説明するのが大変だけどラリーと言えば伝わるっぽいこともこの時に学ぶ。今度から説明する時使っていこう。
20分ほどコンビニで立ち止まっただろうか?補給も完了して力もみなぎってきたので愛車に跨り駐車場を出る。漕ぎ出しの脚が石のように重いことを除けば万全。
信号に行くと目の前に善子ジャージが!さっき灯台でバラけた善子兄貴じゃないか!
ダイヤちゃんは先に進んだということだけ伝えて山区間が始まる。善子兄貴はローテする感じではなさそう。あくまでマイペースということなので僕も待たずにマイペースで走る。
向かい風と横風で1時間くらいタイムロスしてしまったが、これからも登りなので巻き返しはあまり期待できないかも。。。でも風はだいぶ収まったので体力は温存できるはず!
ホテルに何時に着くのやらと一抹の不安とか傾いた太陽が山道につくる長い影に若干の寂しさのようなものを感じる。
ザ・センチメンタリズムなのだが走らないことにはどこにも辿り着くことはできない。進まなければ。燃えるように熱かった脚もいつの間にか気にならなくなっている。
山区間は予想に反して緩く、1~2%くらいの登り坂が続く。今までの向かい風や横風に比べれば無いのと同じである。本気出すと遅れを取り返せるかもしれないとちょっとペースを上げて走る。
信号もない山の中で勾配も緩いとなると25km/h前後でずっと走れてしまうのだ。ここが初日で一番気持ち良い区間だったかもしれない。
風もないのでただただ走りに集中すること2時間。ガチの田舎道を抜けた先、PC2の手前の200km地点にたどり着いた時にちょうどスタートから9時間の経過時間になっていた。
あの暴風向かい風 & 横風と登り、追加の休憩を経て200km9時間は速くないか?
時刻は18時。クリアレンズのサングラスでもかけていると見えづらくなるくらいの薄明かりの中、驚異的な巻き返しに驚きつつもPC2のコンビニに辿り着いた。
PC2は今まで訪れたコンビニの中でも最高クラスにホスピタリティに溢れた店舗だった。
店員さんは丁寧で優しい、休憩所はめちゃ広い(テニスコートくらいありそうなスペースに椅子と机が何脚か)
そしてガラス張りの休憩所の前にはバイクラックがあり、走る全財産を吊るしておいても安心して食事ができる(神)
PC2に入ったらダイヤちゃん兄貴もいた。さっき着いたという話だったので山の区間でだいぶ巻き返したっぽい。
暖かい店内では長めの休憩を取る。かなり気持ち悪かったがドンベェとおにぎりを2個、さらにプロテインとしてファミチキを腹に詰め込む。
少ししたら善子兄貴も到着したので兄貴たちの席に同席してこの後のコースや今日の宿の到着予定時刻の話をした。
PC2が既に200mの山の中だがここから1100mくらいまで一気に登ること、登ったら400mまで降ってまた600mまで登ること。今日の宿の到着時刻は多分1時くらいになりそうなこと、寒いってこと。いろいろ話した。
ランドヌールがコンビニの休憩所で座って話し合う空間が好きなのですごい充実感のある時間だった。
暗くなり始めていて気温も下がって来ていたのでコンビニであったランドヌールと防寒はしといたほうがいいねと話し厳冬期装備を纏って出発する。ここからは標高1100mまで一気に登る。
暴風区間は間違いなく予期せぬ難所だった。が、本来コースプロフィール上は初日最大の難所がここになる。
標高は高いしずっと登るのは精神的に厳しい(僕は登りが苦手である)がそれでも勾配はそこまで厳しいものではない。
登り自分にしては珍しく1.5時間で登頂を完了する。この時の山頂の気温はすでに5℃。
ここからホテルまでは一度降ってもう一度登るを2回ほど繰り返す。なにせ初日の旅程315kmの獲得標高は3,900m。ここまで走って1100mの山を踏破しても2600m。まだ1300mも消化しないといけない...。まじか...
とりあえず一気に下る。真っ暗な山の中。野生動物が飛び出してきたら一撃アウトなのでライトをガンガン焚いて下る。
道が濡れてそうな気配があったりサドルバッグに引っ張られていつもより簡単にバイクが傾いたりして怖い思いは多少したけれども大体いつも通りのハイスピードダウンヒルである。
汗が冷え冷えしていたがGORE-TEXとネックウォーマーと手袋でギリギリ耐えられた。しかしこの先はもうホテルまでは防寒着を脱ぐことは無さそうだ。
時間は刻一刻と過ぎていくがPC2での補給が効いているのか走ること自体は問題ない。
自分的には250km以上走行しているにも関わらずまだまだ全然踏めるなという感覚にちょっと驚く。補給をしっかり取って入ればこんなに踏めるものかと。
しかしここで15分短縮するために出力を上げて翌日に疲労を持ち込むくらいなら踏める感覚もあるしペースはキープで回復しながら走りたいなと思い、追い込み切ることはせずゆるゆると距離と標高を消化していく。
人里と山と人里との完全に真っ暗闇の中走ると徐々に伊那の標識が見える。距離も縮まっていくじゃないか。
すでに時刻は23時で飲み屋以外に人はいない様子なのに長野の信号は熱心である。赤の点滅信号になることなくちゃんと稼働している。大変熱心である。
峠に加えて市街の信号峠にも阻まれつつも23:30にPC3に到着。
PC3はホテルのある伊那市の手前。あと30kmでホテルという位置関係である。
そのまま軽めの補給で押し切れる距離ではあるのだが念には念を入れて唐揚げとお茶漬けを摂取してまたしばらく登ったり降ったりする。
真っ暗で時間感覚がぶっ壊れた中で気がつくと真っ暗な道沿いに水が流れている音がする。
確か伊那は川沿いだったよな?と思っていたら光に照らされたでかいホテルが見える!
もしかしてこれは伊那!?ということで立ち止まってiPhoneで確認するとホテルまで1.2km。
ようやくホテルに着くという安堵感でペースを落としてノロノロと移動。駅前にホテルがあるのでちょっとロードサイドから外れてホテルを探す。
一度気づかずホテルの前を通過してしまったので再度iPhoneで確認してようやく到着。
時刻は0:50。ギリギリ0時台というところでチェックイン
PC2の予測タイムとほぼほぼピッタリという時間でホテルに到着している。
だからと言ってホテルでゆっくりして良いわけではない。やることは山積みだ。
洗濯、充電、睡眠。まだ315kmが終わっただけに過ぎない。
300km/3900UPの疲労と寒さであまり頭は回らないがとにかく一番時間がかかるのは洗濯なのでまずは洗濯を始める。
非常に古い洗濯機にウェア一式をぶち込んでいる間にシャワーをと思ったのだがなんとこのホテル、大浴場が24時間営業している。
自分がいるホテルの隣に多分系列のホテルなんだと思うがそっちでやってるらしい。
一度外に出ないといけないがシャワーよりずっと良い!ということでタオルだけ持って移動開始。
ホテルの外に出ると気温は3℃。クソ寒い。こっちは浴衣だけだぞ!?
寒すぎるので速やかに体を洗って浴槽へ直行する。
冷え切った体がお湯にびっくりしていたがすぐに適応してお風呂で溶けそうになる。
今目を閉じたら寝そう。溺れるかもしれないけどな...と若干気持ちよくなっていたのだが...不意に吐き気がしたので風呂から出て部屋へ移動。
洗濯が終わったタイミングで乾燥機にウェアをぶち込む。ぶち込む間に電子機器を充電する。
1日目のホテルに到着し洗濯と乾燥やってる
— UG (@gr8distance) April 29, 2025
乾燥終わったら眠れる
特にやる事がなくベッドに入って乾燥機が終わるのを待っていたらデバイスの充電が着々と完了していく。
2:00ちょっと前に乾燥機が停止した。乾燥機から出てきたウェアは生乾きだった(古い乾燥機だったからなぁ...)が流石にもう一度乾燥機を回す気にはなれず、とにかく早く寝よう!ウェアは朝には乾くだろうと思うことにして室内に干して寝る。
とにかく疲れた。翌朝(というか既に今日であるが)なんとか9時までに出発できたら良いなと...思いながら目を閉じると一瞬で意識が途絶えた。